Green House English ニュースレター2021年4月号
「英語が話せる人が持っているスキル」
外国語学習の際、理解しなければならないことがあります。それは、コミュニケーション文化の違いです。それは、「高コンテキスト文化」と「低コンテキスト文化」の違いです。今日は、それが一体何か触れてみたいと思います。
一般に日本人のコミュニケーションは、「高コンテキスト文化」であると言われています。それは、簡単にいうと「多くを語らずとも相手の意図を察してあげられる文化」です。反面、欧米の英語圏のコミュニケーション文化は、「低コンテキスト文化」と言われています。これは、「正確に理論的によく説明し、主張することが尊重される文化」です。
外国語で話す時、このコミュニケーション文化の違いは、大きな難関となってしまいます。沈黙を好み多くを語ることを好まない「高コンテキスト文化」の日本人にとって、英語を話すにあたって、多くを説明しなければならない「低コンテキスト文化」のコミュニケーションスタイルは、どうも馴染みにくいものになります。
ですから、英語を学んでも、日本語のように言葉少ない表現になってしまうことも多いです。ひどい場合は、単語を少し並べる程度がせいぜいのような人もいらっしゃいます。
例えは、お塩をいただきたい時に、日本語だと「すみません?お塩を・・・」(すまなそうに、頭を下げながらいう)で十分丁寧なのですが、英語でこれを直訳して”sorry…salt…”となってしまうと、聞き手は、何が言いたいのかよくわからない状態になります。
これを英語で正確に表現すると、“Would you please pass me the salt, please?”になります。逆に、これを日本語に直訳すると「そちらのお塩を私に渡していただけませんでしょうか?お願いいたします」となるわけです。
日本語の性質を見た時、日常生活の中で、尊敬表現を使う際、あまり文章を最後まで長々とはっきり伝えてしまうと、くどくなったり刺々しく聞こえたりする印象になります。「控えめ」に言葉少なめに話すことが好まれます。相手を敬いながら、声のトーンの柔らかさに気をつけ、柔和な印象を与えることで、好感度をアップし、聞き手にも受け入れられやすくなります。日本人の大切にしている「察する文化」は、精神性の高さの象徴でもあります。
しかしながら、日本人が英語を話す際、「高コンテキスト文化」の表現方法に止まっている限り、「低コンテキスト文化」のものには、うまく適応できません。これは、逆のパターンでも同じ現象が見られます。ですから、外国語学習においては、単に外国語習得にとどまらず、このコミュニケーション文化の違いを理解することが必要になります。
そして、更に、その違いを克服する方法として、「コードスイッチング(コードミキシング)」というスキルが必要になります。これは、2種以上の言語体系ないし言語変種(方言など)の切り替えを行うスキルのことです。よくバイリンガルの人々が会得しているスキルです。
長年の学術研究では、「コードスイッチング」には、社会環境や社会観,言語間の価値観の違いの認識か゛影響していると言われています。ですから、外国語と合わせて、その国の社会観、文化、コミュニケーション文化も学んでいく必要があります。
また、私個人の経験では、英語を話すときは、英語で考え、日本語の場合は、日本語で考えるというアプローチをとっています。そうすることによって、自然にもっとスピーディに英語で表現することが可能になり、コードスイッチングがもっと自然に習得ができるようになります。その弊害となっているのが、英語日本語を訳していく、戦後の従来の英語教育のアプローチです。この教育方法によって、まず日本語で考え、それを英語に訳していくステップが育てられてしまいます。そこに更に、コミュニケーション文化の違いが加わり、直訳など不自然な英語表現を作ってしまう現象が生まれてしまいます。また、訳をする過程の中で、文法的に理論で考えてしまうため、スピーディーな会話もできなくなります。
日本の学校の英語テストの中で、翻訳の問題があるため、英語学習カリキュラムにおいてもどうしても避けられない項目にはなりますが、スクールとしては、なるべくそちらに重点を置かないように心がけている次第です。語学習得に合わせ、「コミュニケーション文化」の理解と「コードスイッチング」のスキルを育てるには、10歳未満からの早い時期での英語教育がとても効果的です。また、理論で説明しても中々身にならない為、英会話のレッスンでも「場面シラバス」などそれを意識したプログラムを導入していくことや、普段の生活の中でも、英語に自然に触れていく機会を多く持つことが良いでしょう。
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